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日本大学准教授の小川豊武さん

 東京都心部の「ラグジュアリー」なライフスタイル情報誌「東京カレンダー」(東カレ)。メディア研究者の小川豊武さんは、東カレの世界観の中に、格差の固定化を読み取ります。いまの「バブル」を象徴する雑誌・東カレから見える、日本社会の現在地とは。

 「東京カレンダー」(東カレ)は、主に東京都心部の飲食店を扱う情報誌です。ウェブ版の連載小説「東京女子図鑑」「東京男子図鑑」がドラマになったり、「港区女子」という言葉を広めたりと、今の社会の一側面を象徴する雑誌といえます。

 そんな東カレを考察対象にしたことがあります。読者は中年の男性中心というイメージがありますが、媒体資料では25歳~44歳が半数以上を占め、4割が女性です。創刊時から都市情報誌の系譜を引き継ぎつつ、網羅性と検索性に優れるネットの情報サイトに比べ、情緒や世界観を前面に押し出すのが特徴です。店の情報だけではなく、そこに恋愛や婚活のストーリーを重ねている。文章がポエム的と揶揄(やゆ)されますが、戦略的にやっているのでしょう。

 東カレの世界観は、東京とい…

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